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日本医療法人協会ニュース 2022年11月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 副会長 関 健


■特別座談会
 鷲見 学・厚生労働省医政局地域医療計画課長を迎えて
  地域医療構想•第8次医療計画の動向を読む
  高齢者救急など不可欠な機能は民間中小病院が担うべき

■インタビュー
 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ
  在宅医療圏や連携拠点等のあり方が医療計画に位置づけられ
  中小病院の役割がより明確に
   鈴木邦彦・日本医療法人協会 副会長

■自見はなこ参議院議員の国政レポート第25回
 医療DX推進に向けた施策は患者目線のもと実施されるべき

■特別寄稿
 医療事故調報告件数は適切である
 一厚生労働省担当者は塩崎恭久厚労大臣発言を知っているのだろうか一
  小田原良治・日本医療法人協会 常務理事

EVENT Report 衆議院厚生労働委員会

令和4年度(2022年)秋の叙勲・褒章
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 ウクライナ戦争の影響

日本医療法人協会 副会長  
社会医療法人城西医療財団 理事長・総長 
関  健

 ロシアがウクライナに侵攻して8カ月になる。その間、世界は50年前の対立構造に後戻りした。世界はインフレに振れ、対ドルの貨幣価値はすべて暴落している。わが国はデフレ脱却を模索してきたが、最近は、消費者物価指数の3%程度の上振れ傾向が続き、インフレ局面に入った。対ドルの円安はあっという間に150円を超え、100円時代からは1.5倍になってしまった。アメ リカやヨーロッパが金利を次々に上げるなか、日本は相変わらずゼロ金利政策を続けており、その差が円安をもたらした。

 輸出産業に有利だとか、インバウンドが増えるとか、投資が進むとか、円安に期待する声もあるが、医療界には全くの逆風である。 第1は、エネルギー料金の高騰である。私の法人の規模で、4月からの上半期で電気代は昨年同期比2500万円の増額になった。石油の燃料費は夏場だったため影響は少なかったが、10月以降は暖房が使われるようになり、下半期の燃料費の増加が懸念される。稼働する約100台の車両のガソリン代は、文字どおり1.5倍になっている。これらはすべて経費だ。しかしながら、この経費増を患者に転嫁することはできない。

 新型コロナ診療に関しては、医療材料費の増加が著しい。半期で4000万円の支出増だ。給食材料費も増加し、また、政府の求めに応じて4月に給与を引き上げたが、この状況で、それでよかったのか反間している。

 第2は、医薬品の流通である。薬が手入らなくなっている。これも、ウクライナ戦争の影響だが、原材料のサプライチェーンがずたずたになっているのだ。中国が最大の供給国であるが、コロナ禍の影響もあり、インドや東南アジアにサプライチェーンを求めるも、十分な医薬品原材料の供給が滞っている。原材料費の高騰も深刻だ。もとより、医薬品の原材料は工業製品であり、価格は他の領域を含めた需給関係で決まるため、医療界だけの需要で決まるわけではない。

 第3はサイバー攻撃である。身代金要求型のウイルスを感染させ、病院のレセコンを乗っ取った事件は記憶に新しい。各病院は、サイバー攻撃対策を実行し、診療報酬データのバックアップを取る対策をした。これも、経費増をもたらした。

 ウクライナ戦争の影臀は甚大な経費増をもたらした。公定価格である医療費は上がらず、いわゆる"持ち出し''である。新型コロナ対策では補助金が交付され、一息ついた法人も多かったと思うが、次回の同時改定の際に今回のことが顧慮され適正な改定がなされるのか、各方面と連携して実現を図りたい。

 ノーモア・ウクライナ。戦争の終結を強く求める。


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