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日本医療法人協会ニュース 2022年12月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 兵庫県支部長 佐々木恭子


■特集 第37回全国医療法人経営セミナー
 新型コロナ収束を見据えつつ 地域医療における課題克服へ


■自見はなこ参議院議員の国政レポート第25回
 問題意識を持ち 医療ISAC構築に取り組む時期

■EVENT Report
 HOSPEX Japan 2022内セミナー

●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 第37回全国医療法人経営セミナーを開催して

日本医療法人協会 兵庫県支部長
 社会医療法人渡邊高記念会 西宮渡辺病院 理事長
佐々木 恭子

 37回続く全国医療法人経営セミナーにおいて、神戸市での開催は初のことでした。テーマは「コロナ共存時代を迎えて~地域社会に学ぶ働き方とこれからの医療」。地域医療のあり方に総点検が求められる今、過疎地と都市部を併せ持ち、統廃合による大型公立病院がひしめくこの地での開催は、大変意義深いことだったと思っています。

 兵庫県ではここ10年あまり、公立病院を中心とした統廃合が次々と行われ、地域の医療体制は様変わりの状況です。大型公立病院に救急が集中し、地域の病院が救急医療から撤退するなかで起きたコロナ禍は、医療崩壊の危機を感じる一因となりました。兵庫県が持つ医療課題は全国各地が抱える問題の集約でもあると考え、今回の企画となりました。コロナ禍の日々は「医療の優先順位や結果における公平性」を考えるきっかけとなりましたが、「病院運営におけるゆとりこそが有事の備えであること」を認識する機会でもありました。今回のテーマには、今後もあるだろうパンデミックや地域災害を考える、あるいは、日頃の病院運営で必要となる地域社会との共存と協力を念頭に、より一層求められる柔軟な発想への思いを込めました。

 基調講演では、厚生労働省より医政局地域医療計画課の鷲見学課長に登壇いただきました。今後の地域医療構想では現場の実感と予測数値との一致をめざし、将来予想の精度を上げる必要を感じています。画一的な数値のみに頼らず、地域ごとに違う多くの要因をより多角的に検証する必要があるのだと思います。

 特別講演Ⅰ、Ⅱでは、県を代表する2つの地域活性化の取り組みを、養父市の広瀬栄市長と株式会社パソナ取締役副社長の山本絹子氏に語っていただきました。地域活性化は地域資源活用の源であり、地域医療の活性化にもつながる大変興味深い視点かと考えます。また、石井公認会計事務所の石井孝宜所長の特別講演Ⅲでは、マイナス改定や経費高騰のなかわれわれはどこまで頑張れるのか、厳しい現実を考えさせられました。特別講演Ⅳの藤田医科大学ばんたね病院脳神経外科の加藤庸子教授には、医師、とりわけ女性外科系医師の先駆者である先生の人生を語っていただき、医師の働き方や男女共生時代における医師像を考えるきっかけとなったと思います。

 シンポジウムでは、医法協を代表する先生方が病院経営の今を論じ、明日への希望と元気をいただけたのではないかと思います。お忙しいなかご来場いただいた多くの先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。

 本セミナーが盛会裏に幕を閉じることができたのは、事務局や兵庫県支部をはじめ多くの方のご尽力あってのことです。心からの感謝を申し上げます。


特集 第37回全国医療法人経営セミナー
 新型コロナ収束を見据えつつ 地域医療における課題克服へ



「第37回全国医療法人経営セミナー」が11月19日に神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)で開催された。 大会テーマは、「コロナ共存時代をむかえて ~地域社会に学ぶ働き方とこれからの医療~」。コロナ禍収束後の日本の医療提供体制、地域医療のあり方を考えるセミナーとなった。

 開会セレモニーでは、はじめに、大会の実行委員長を務めた日本医療法人協会の佐々木恭子兵庫県支部長が開会の挨拶に立ち、「医療機関の統廃合が進んでいた兵庫県で、今回のコロナパンデミックでは医療崩壊の危機に瀕した。都市部も山村・沿岸部もある兵庫県は、全国各地が抱える医療課題を集約しているともいえ、そんな兵庫県でのセミナー開催は大変意義深い。今後の病院運営の課題は山積しており、ウクライナ戦争を発端とする不安な国際情勢、円安など、厳しい環境のなかでも、ゆとりと余力を持つことが大切であることを再認識した。今回、テーマに挙げたコロナ収束後のあり方は、感染症パンデミックや地域災害医療だけでなく、日頃の病院運営において、地域や社会との協働・ 協力・共栄を念頭に、より一層柔軟な発想が求められる」と述べた。

 次に、日本医療法人協会の加納繁照会長が登壇。「渡航制限解除や旅行振興策が行われたことで、新型コロナとインフルエンザの同時流行に危機感を持たれている参加者も多いと思う。また、 今回のセミナーは医療従事者の働き方改革にもスポットをあてたものとなっている。地域社会における今後の医療を考えるうえで貴重な一日となることを期待している」とした。

 続いて、来賓挨拶が行われた。兵庫県出身の西村康稔経済産業大臣からは「経済産業省でも医療についてさまざまな支援を行っており、医療機器の開発、ワクチンを含む医薬品の製造・開発などに多額の予算を配分して対応している」とビデオメッセージが寄せられた。

 また、参議院厚生労働委員会に所属する星北斗参議院議員は「今後も医療行政に力を尽くし、力強い医療を皆様とつくっていきたい」と述べた。

 齋藤元彦兵庫県知事と久元喜造神戸市市長もそれぞれビデオメッセージを寄せた。齋藤知事は、「医療ニーズの変化に対応し、誰一人取り残されることなく、住み慣れた地域で生き生きと暮らすことができる社会の実現のため、医療法人協会の皆様には大きな期待が寄せられている」 と協力を呼びかけた。一方、久元市長も、「民間病院の先生方の協力があってこそ、新型コロナとの闘いが続けられている」と感謝を述べた。

 その後、厚生労働省医政局地域医療計画課の鷲見学課長が、「昨年5月に成立した改正医療法を踏まえ、医師の働き方改革、医師の地域偏在対策、地域医療構想の推進に一体的に取り組んでいく」と力説した。
 
 日本社会医療法人協議会の西澤寬俊会長は、「これからの地域医療を考えるうえでは、病院だけでなくさまざまな医療サービスを提供する複合体の法人としての対応が重要となる。そうした意味でも、日本医療法人協会の皆様の活躍をうれしく思う」と期待を寄せた。

 最後に、兵庫県民間病院協会の西昂会長が「かつてはいい医療をしていれば経営は後からついてくると言われていたが、今の時代はそうではない。私も、本日のセミナーで勉強したい」と締めくくった。


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