日本医療法人協会ニュース 2024年4月号
■巻頭言
日本医療法人協会常務理事 星野 豊
■特別インタビュー 老健局老人保健課長に聞く2024年度介護報酬改定
医療と介護がそれぞれの視点を取り入れた連携の実践が改定のポイントに
厚生労働省老健局老人保健課長 古元 重和
■EVENTReport 2024年度診療報訓・介護報訓同時改定説明会
講演1:2024年度診療報訓改定について
厚生労働省保険局医療課長 眞鍋 馨
講演2:2024年度介護報酬改定について
厚生労働省老健局老人保健課介護保険データ分析室長 福田亮介
講演3:中央社会保険医療協議会議論を振り返って
日本医療法人協会副会長 太田圭洋
講演4:介護報酬改定を踏まえた医療法人の経営対応のポイント
株式会社川原経営総合センター福祉経営コンサルティング部
シニア・コンサルタント 田中律子
■特別寄稿
愛西市ワクチン事故に対する医療事故調査制度の運用に関する見解
日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長 小田原良治
●「医師事務作業補助者研修」ご参加の募集について
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記
日本医療法人協会 常務理事
社会医療法人豊生会 理事長
星野 豊2024年度の診療報酬・介護報酬・障害サービ ス等報酬のトリプル改定の全容が公示され、その後の疑義解釈などでいっそう、このたびの改定の大きさが浮き彫りとなってきた。今回の改定を''医療・介護の大構造改革の初年度''と評する解説もみられる。
特に、重点の置かれているこれからの在宅医療では、救急搬送の60~65%を占める高齢者救急対策として、二次救急の位置づけとともに、受け皿としての地域包括医療病棟の新設や、介護面では特養などの高齢者施設に24時間の相談・往診・入院機能を備えた協力医療機関との連携を義務づけるなど、地域での医療・介護の提供体制に構造的な変化をもたらす可能性がある。
昨年末に行われた在宅医療に積極的な医療機関の調査や、これからのかかりつけ医の論議にも共通する流れと思われ、今後、地域包括ケア域内での医療と介護の境界も薄れ、横の連携の拡大と高度急性期・専門医療機関、高齢者救急を主とする二次救急、そのプラットホーム的役割の在宅療養支援病院・診療所・後方支援病院などの縦の連携が形づくられ、この機能分化の進展を伴う大構造改革の初年度と評する解釈も十分うなずける。
しかし、これらの改定は都市部ではイメージできるものの、人口減少の著しい過疎地でこそ高齢化が進み、かつ、担い手不足も深刻となっている。厚生労働省の改定説明資料には、医療資源の少ない地域への配慮として、オンライン診療・往診(D to P with N)や脳卒中治療の遠隔連携、病室単拉での回リハ設定などが盛り込まれているが、現状は過疎化による患者減に医師・看護師不足なども相まって、医療機関の運営自体が大変厳しい状況となっている。
診療報酬上の支援も肝要だが、配慮の段階から地域医療計画などの施策として、より抜本的な対策が必要な時期に至っていると思える。 社会医療法人の設立要件にへき地医療支援との条項があり、この派遣により専門外来などの枠が広がり周辺の町村との連携が深まった例も あるが、まだまれで、今後、より多くの(都市部の)医療法人がへき地医療にかかわる仕組みづくりなども検討されるべきと考える。
この人口減少問題は医療過疎ばかりではなく、移動・買い物難民など地域生活を困難にし、限界集落化を早めてしまう。アンケートによると、住み慣れた地域で暮らし続けるために最も必要なことは「支えてくれる医療と介護があること」との答えが最も多く、その1つとして、可能となったオンライン診療や専門相談など広域(都市部)の協力体制が築かれることで地域の安心にもつながり、加速する過疎化を防ぐ一助ともなるのではと考える次第である。
特別インタビュー 老健局老人保健課長に聞く2024年度介護報酬改定
医療と介護がそれぞれの視点を取り入れた連携の実践が改定のポイントに
厚生労働省老健局老人保健課長 古元 重和
6年に1度の2024年度診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬 同時改定。特に介護報酬においては、医療と介護の双方のニーズを有 する方への対応を模索するべく、医療と介護の連携強化に向けた見直 しが行われたほか、診療報酬と同様に現場従事者の処遇改善に向け た仕組みも設けられた。厚生労働省老健局の古元重和老人保健課長 に、今次改定のポイントについて解説してもらった。
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