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日本医療法人協会ニュース 2024年7月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 副会長 小森 直之


■特別報告
 令和6年度定時総会
 わが国の医療を支える民間病院の自負を持ち逆風に立ち向かうべき

■トピックス
 解説・骨太の方針2024
 「骨太の方針」の閣議決定
を受け窮状について声を集め政策に反映させる
 日本医療法人協会 会長 加納 繁照

■インタビュー
『地域包括医療病棟入院料への移行調査≪集計速報値≫報告書』について
「地域包括医療病棟」に対する関心・期待は大きいものの算定要件と現場実態に乖離
 日本医療法人協会 副会長 太田 圭洋

■解説 四病院団体協議会「令和7年度予算概算要求に関する要望」について
「最重点要望事項」を設け病院喫緊の課題を明確化 具体的要望にも踏み込む
 日本医療法人協会 会長代行 伊藤 伸一

●医療界の最新動向NEWSDIGEST
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 地域医療への病院のかかわり方を考える

日本医療法人協会 副会長
医療法人社団恵仁会 なぎ辻病院 理事長
小森 直之

  「新たな地域医療構想」では、今までの地域医療構想よりも、全国一律に同じ仕組みをあてはめようとする動きが出ているが、これは避けるべきだろう。

 たとえば、医療資源に限りが出てきた地方では、診療所が中心的な役割を果たしながらも、 土日・祝日、夜間、あるいは年末年始での対応は、在宅療蓑支援病院などがかかわることが求められる。

 しかし、地域によっては、高齢化した診療所の先生方が今回の医療DX化に伴い診療所を閉院し、その一方で、若い医師は採算性が少ない地方での開業を嫌がり、都市部での開業が増加しており、土日・祝日、夜間の医痕の担い手がどんどん減少している。また、働き方改革が今後さらに定着してくることになれば、土日・祝日や時間外に働くことはしなくなるだろう。

 都市部であれば診療所が多くあるので、むしろ、病院は入院医療が必要になった際の受け皿といった機能に特化することもできるだろうが、ここでも、働き方改革によって土日・祝日、時間外をすべで病院に託すのは難しくなってくるだろう。

 地域によっては、昔のように中小病院がすべての機能を果たさなくてはならず、都会と地方では医療構想の考え方は大きく異なると思われる。医療資源の活用があまりにも進むと医療の余剰がなくなり、それこそ大問題になるのではないか。今ある医療資源をより大切にするのであれば、現存する二次救急告示病院により手原い政策を施し、地域によっては、急性期から慢性期までを診ていく医療機関に頑張ってもらうしかない。

 当院では障害者病棟で慢性期医療を行っているが、今回のコロナ流行時、コロナ重症、中等症の入院患者を数多く診てきた。慢性期病院でコロナ入院患者の治療が可能であった大きな理由として、日常から人工呼吸器の入院患者を多く診ているため、スタッフを含め人工呼吸器の扱いに慣れていたことが挙げられる。今回のような危機的感染爆発はもうないかもしれないが、なるべく多くの医療機関が平面的に医療レベルを保つべきではないのかと考えている。

 まず、救急医療機関で受け入れ、その後、なるべく早く後方支援の病院に転送する。さらに言うなら、急性期~回復期~慢性期~在宅の流れを早くすることこそ、求められているのではないだろうか。

 今後、有事のことについても話し合われているが、そのような事態を想定するのであれば、なおいっそう、救急医療を行っている病院を守っていくような地域医療構想であってほしいと思う。


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