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日本医療法人協会ニュース 2024年8月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 常務理事 星野 豊


■特別企画
 森光 敬子・厚生労働省医政局長と懇談
  2040年に向けて地域医療を守る民間医療機関の重要性を強調


■スペシャルレポート 鹿児島県医療法人協会セミナー
 鼎談「創設時に立ち返って医療事故調査制度を考える」
  制度創設時に立ち返つて医療事故調査制度の正しい理解を
  厚生労働省医政局医療安全推進・医務指導室長 松本 晴樹
  井上清成弁護士事務所 井上 清成
  鹿児島県医療法人協会会長/日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長 小田原 良治

■EVENT Report 第1回経営講座

●医療界の最新動向 NEWSDIGEST
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 地地域包括医療病棟の新設とその意義域医療への病院のかかわり方を考える

日本医療法人協会 常務理事
医療法人社団豊生会 理事長
星 野 豊

  今次診療報酬改定で「地域包括医療病棟」が新設されました。背景には、高齢化の進展に伴う在宅や施設からの高齢者救急搬送の増加と、その多くが軽症・中等症患者であることが挙げられます。一方急性期病棟では、ADL(Activities of Daily Living :日常生活動作)の低下が懸念され、疾患の急性病態からは脱したものの要介護度の悪化につながるとの指摘も多く聞かれます。

 超高齢化や感染症の急増などで三次救急が逼迫しつつあるなか、比較的軽症症例の救急対応(二次救急)や「下り搬送」の受け皿としても、また一般急性期や地域包括ケア病棟の機能を補完する意味でも、今回創設された新病棟の必要性は高いと思われます。一方、在宅療養でも医療と介護の連携が重要視されていますが、このたび、 特養・老健などの介護施設ではそれぞれ協力医療機関(24時間の相談・往診・入院調整など)を持つよう義務化の方向が出ています。「ときどき入院・ほぽ在宅」という人生100年時代を迎えつつある今、この地域包括医療病棟は国をあげてめざしている「地域包括ケア」の成熟に、医療面での基軸となることが期待されます。

 この地域包括医療病棟は、入院・救急医療を行う体制(二次救急または救急告示病院)を有し、 10対1以上の看護体制に加え、常勤の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を2人以上・専任の管理栄養士1人以上の配置が求められています。

 今年6月に行われた日本在宅療養支援病院連絡協議会の意向調査では、96病院中4病院(4%) が移行の方針で、40病院(42%)が検討中、移行しないが51病院との結果でした。検討中の多くが、施設基準が厳しい(在宅復帰率80%、緊急入院割合15%、看護必要度16%、平均在院日数21日以内等々)のほか、人材確保の不安や24時間救急医療・検査体制維持、また、病院内他病棟からの移動も限られ院内連携が図れないなども挙げられています。こうした基準も一律の設定ではなく、それぞれの地域の実情や担う医療機関の事情にも合わせて段階に輻があると、具体的に移行を検討する俣療機関も多くなるのではと考えます。

 本格的な超高齢化社会を目前に、今回の改定に盛り込まれた地域包括医療病棟の新設は、増加しつつある高齢者救急に対する対処・治療やその後の在宅復帰を含めた包括的な区療提供をめざし、地域全体で支える医療体制を強化するものと考えられます。

 「住み慣れた地域で、安心してその人らしく暮らし続けられる」ためには、医療や介護など単独(点)ではなく結び合って(線)、そして、その間を埋める栄養・リハビリや地域参加や見守り合いなど面で支える「地域包括ケア」の体制づくりが望まれます。この地域包括医療病棟の創設が、その実現の大きな一歩となることを期待しています。


■特別企画
 森光 敬子・厚生労働省医政局長と懇談 
             2040年に向けて地域医療を守る民間医療機関の重要性を強調

 超高齢化、人口減少の本格的な到来を迎え、医療政策も新たな段階に入った。医師の働き方改革や新たな地域医療構想などの展開はその一例と言える。一方、日本の医療を支える民間病院の経営状況は益々混迷の度を深めており、対策が待たれる。そうした中で、この度、厚生労働省医政局長に森光敬子氏が就任した。保険局医療課長をはじめ、医療政策の中核となる部門で従事し、医療機関経営について精通していることもあり、医療界の信頼は厚い。今回、日本医療法人協会の加納会長をはじめ、会長代行、副会長が表敬訪問し、民間医療機関の現状や課題についても意見交換した 。
(以下、掲載略)


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