TEL:03-3234-2438e-mail:headoffice@ajhc.or.jp

日本医療法人協会ニュース 2025年2月号

協会ニュース一覧へ

■巻頭言
 日本医療法人協会副会長/社会医療法人ペガサス理事長 馬場武彦


■四病協新年会員交流会
 新年会員交流会を5年ぶりに開催 厳しい経営環境打破に向け決意新た


■新年のごあいさつ

■特別寄稿 「標準化・画ー化」は医療事故調査制度で想定されていない
 日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長 小田原良治

緊急レポート5団体で「緊急要望」
 病院経営は破綻寸前 地域医療崩壊につながる危機を強調


●NEWS DIGEST医療界の最新動向
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 医師の働き方改革をさらに進めるために

日本医療法人協会 副会長
社会医療法人ペガサス 理事長
馬場 武彦

  2024年4月から本格的に施行されている「医師の働き方改革」関連制度は、関係各位のご尽力もあって、まずは無難なスタートを切ったと言える。施行前は大学医局からの医師の引き揚げを懸念する声も一部で聞かれたが、大阪府私立病院協会のアンケート調査などを見る限りでは、関連制度との兼ね合いで引き揚げが行われたというケースはほとんどない。全国的に見ても、多大な影響を受けている地域はあまりないように思われる。

 こうした滑り出しは、全国の病院が宿日直許可の取得に向けてご努力いただいことが大きく、労働基準監督署に頁摯にご対応いただけたことも、忘れてはならないだろう。

 今後も、全国の病院は、医師の働き方についてより望ましい方向に進めていただくことが求められる。宿日直許可も、そして自己研鑽と労働の切り分けも、明確な線引きというのはかなり難しく、だからこそ、それぞれの現場での地道な努力の継続が必要ではないかと思うのだ。タスクシフト・シェアもその手立ての一つであろうが、どれか一つの対策ですべてが解決するとは考えにくく、さまざまな取り組みを進めて、働き方改革は継続させていかなければならない。

 そのカギとなるのが、病院内でのコミュニケーションである。それによって自己研鑽と労働の切り分けも、杓子定規ではなく、実態に即した形での運用が叶うのではないだろうか。「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン」なども参照にしつつ、話し合いを進めて線引きに関する認識を共有していくことが求められる。場合によっては、ベテラン医師と若手医師の間に第三者を置くといった配慮も考えられる。

 そうしたコミュニケーションは、病院全体に浸透することが望ましい。特に、医師と看護師をはじめとする医療職の間では必須である。それによってチーム医療はさらに進展することが期待でき、夜間における医師から病棟への「包括的指示」 の活用の余地も広がるかもしれない。対応可能な患者の範囲や病態の変化が明確にされ、かつ、 指示を受ける看護師が理解できる内容が示されていれば、看護師による診療の補助の範囲も拡大するだろう。ただそれには、医師側、看護師側が認識を共有させなければ進まない。

 もちろん、適宜、医師への報告は必要だろうし、かつて見られたような「包括的指示」のようにはいかないだろうが、的確な包括的指示のあり方も、 医師の働き方改革をさらに推進するために見直されていいのではないか。

 病院経営は現在、未曾有の危機に直面しており、医師の働き方改革は後手に回りかねないが、 むしろこのような状況だからこそ、それぞれの病院が「医師の働き方」を地道に確認し、改善していただくことが重要だと思う。


■四病協新年会員交流会
 新年会員交流会を5年ぶりに開催 厳しい経営環境打破に向け決意新た



 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成する四病院団体協議会の「令和7年新年会員交流会」が1月10日、東京都内のホテルで5年ぶりに聞かれた。四病協の会員をはじめ医療関係団体、医療関連企業など関係者が多数参加した。

 日本精神科病院協会の山崎學会長が「物価高騰により消費税は1兆円以上の増収になるはず。増収分を診療報酬の期中改定の財源にするよう、医療団体として要求していきたい」と開会宣言。

 続いて、あいさつに立った日本病院会の相澤孝夫会長は「病院に対する仕打ちは決しで温かいものではない。病院はそれに耐えてきたが、ついに耐え切れなくなった。謀反を起こすか一揆を起こすか、それぐらいの強い気概を持たなければこの大変な時期は乗り越えられない。危機を打破するために皆で力を合わせ、新しい価値をつくるイノベーションをやり遂げよう」と力強く訴えた。

 来賓の福岡資麿厚生労働相は、医療機関の緊急支援パッケージを盛り込んだ2024年度補正予算について「早期に執行し、皆さまの手元に届くように努めてまいりたい」と祝辞。

 また、日本医師会の松本吉郎会長は「今年は巳年。蛇のように多少くねくね曲がっても最終的な目的地に行き着く。前進あるのみという強い気持ちで、医療界の諸課題にしっかり対応していきたい」と述べた。


 石破茂首相の祝辞(代読)に続き、日本医療法人協会の加納繁照会長が「今年の病院団体は気合いが入っている。『このままではだめだ』ということで、いろいろな行動を起こさなければならない。巳年は医療の年。今の雰囲気を脱皮し、皆様方に"ヘビー級''の幸せが訪れることを祈念する」 とあいさつし、乾杯の音頭を取った。

 久々の新年会員交流会はなごやかな雰囲気で進み、会場のあちこちで歓談の輪ができた。途中、お祝いに駆けつけた安藤高夫・厚生労働大臣政務官が登壇し、「私の使命は現場の声を政策に反映し、医療界の経営を安定させること。地域の方々の幸せに結びつくような仕事をしっかり行っていきたい」とあいさつ。全日本病院協会の猪口雄二会長の閉会あいさつで中締めとなった。


~ご意見・ご感想をお寄せください~

 より良い誌面づくりのためにも、会員をはじめ読者の皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。宛先は事務局までお願いします。 (Eメール:headoffice@ajhc.or.jp

アクセス

東京都千代田区富士見
2-6-12 AMビル3階
TEL:03-3234-2438
FAX:03-3234-2507
E-mail:
headoffice@ajhc.or.jp