日本医療法人協会ニュース 2025年7月号
■巻頭言
日本医療法人協会 会長
社会医療法人大雄会 理事長
伊藤 伸一
■特別報告 令和7年度定時総会
新会長に伊藤伸一 氏
日本医療法人協会のさらなる発展に向け努力する
■RESEARCH report
2025年度 医療機関における賃金引き上げ状況に関する緊急調査
2025年度の病院賃上げ率は2.51%
処遇改善に向けた環境整備の必要性を強調
■特別寄稿
リピーター医師対策は「医療事故調査制度」に盛り込まれている
日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長 小田原良治
■特別インタビュー ─認定医療法人制度を聞く
認定医療法人制度の活用で承継リスクを回避し持続可能性を高める
公認会計士・税理士 須田博行
●NEWS DIGEST 医療界の最新動向
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
日本医療法人協会 会 長
社会医療法人大雄会 理事長
伊藤 伸一2025年6月6日の総会で日本医療法人協会会長に就任いたしました、伊藤伸ーです。
このたびの会長拝命は大変光栄であるとともに、責任の重大さに改めて身の引き締まる思いです。前会長の加納繁照先生の偉大なるご功績を引き継ぎ、創設74年の歴史ある日本医療法人協会のさらなる発展に向けて力を尽くしてまいります。
現在、病院の経営は経験したことがないほど厳しい状況が続いています。その要因は物価・人件費高騰など複合的ですが、最大の理由は国が医療に対して十分な診療報酬の手当てを行ってこなかったこと。小泉改革以降、医療費削減はとどまるところを知らず、近年は、医業利益だけでなく、経常利益が''マイナス''と公表されています。
当協会がまず対応しなければならないことは、 病院の存続を確実にするための緊急支援を確保すること。さらに、医療費の不当な抑制政策から脱却して医療機関経営の安定化を図ることです。「経済財政運営と改革の基本方針2025」ではこれまでの財政フレームが見直され、社会保障関係費の高齢化による増加分に相当する伸びに、経済・物価動向を踏まえた対応に相当する増加分を加算すると記載されました。これまで医療費の伸びを抑え込んできた枠をとり払うことができたのは、当協会はじめ、医療関係団体が一丸となって対応した結果です。ご尽力いただいた関係各位に対し、心から惑謝申し上げます。
さらに、協議が始まった「新たな地域医療構想」では、病床の再編・削減が進められようとしているなか、新たな「自民・公明・維新による三党合意」によって「2027年までに11万床の病床を削減する計画」が打ち出されました。
私たち中小病院を中心とする医療法人はこれまでもその特性を活かし、二次救急から在宅医療、医療・介護連携において中心的な役割を担い、着実に実績を重ねてまいりました。在宅医療や医療介護連携が主体となる「新たな地域医療構想」で中核的な役割を担っていくのは私たち民間病院を中心とした医療法人であることを、強く主張してまいります。
さらに、医療法人の明るい未来を創造するためには、第5次医療法改正で「経過型」とされた出資持分あり医療法人制度の見直しと、事業承継問題の整理・解決が急がれます。現状で6割を超える持分あり医療法人が将来に憂いのないような制度の再検討は、避けて通れません。今後、検証に甚づく新たな提案をめざします。
その他、一般社団法人立の医療機関の扱いなど課題は山積していますが、執行部の皆様とカを合わせて対応してまいります。一人でも多くの役員・会員の皆様が協会の各部会や委員会にご参加いただき、協会活動をいっそう活性化させるよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
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