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日本医療法人協会ニュース 2025年10月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 副会長
 社会医療法人名古屋記念財団 理事長 太田 圭洋


■緊急要望 6病院団体が危機対応を求める
 補正予算での支援と診療報酬10%超改定を要望

■Interview 伊藤伸一会長に聞く
「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」

●第2回経営講座のこ案内
●第40回全国医療法人経営セミナー開催のこ案内
●NEWS DIGEST
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 民間病院の正念場 -2026年度診療報酬改定-

日本医療法人協会 副会長  
社会医療法人名古屋記念財団 理事長 
太田 圭洋

 現在、全国の多くの病院の経営が危機的な状況にまで悪化している。私は昨年の診療報酬改定を中医協委員として議論に参加したものとして強い責任を感
じている。昨年の中医協答申を終わった後に、私が最も感じたことは、中医協は重要な会議ではあるものの、中医協での理詰めの議論だけでは、病院の現
場の窮状は救えないという厳しい現実だった。

 病院の経営状況が極めて悪化している状況は、医療経済実態調査の結果をみても明らかであった。その後も物価上昇、賃金上昇が続き病院経営が急激に悪化していることは、誰がデータを見ても明らかであった。にもかかわらず、2024年改定、本体改定率0.88%の改定は実施された。

 前回改定後、さまざまな所で講演をさせていただいた。すべて同じ内容をお話ししてきた。診療報酬はどのように決まるのか。改定率できめられた総額医療費の分配しか中医協ではできないという事実。骨太の方針に書かれている「高齢者の増加に社会保障関係費を抑える」という閣議決定された財政フレームの存在。病院医療の窮状を改善するためには、全国の先生方になぜ2024年のような改定が行われてしまったのか、その理由を理解いただき医療界、病院界全体で取り組んでいかなければ対応できないと強く感じたからである。

 その後、多くの先生方と一緒に、病院団体で危機的な病院経営状況のデータを作成し、厚労省、財務省への緊急要望を行った。記者会見も何度も行い、一般国民への病院医療の窮状の啓蒙、および政治家の先生がたへのレクを繰り返してきた。3月12 日に行った日医•6病院団体での合同記者会見は、かなり多くの一般紙、テレビが取り上げてくれた。その後、国会での議員質問でも病院の経営状況が取り上げられるようになった。6月はじめには、NHKで病院経営に関する特殊番組が組まれた。私は日曜討論、クローズアップ現代に出現する機会をいただき、病院の厳しい状況をお話しした。

 しかし、6月6日公表された骨太原案では、まだ高齢化の伸びまでに歳出削減を行うと読める文章となっていた。全国の先生方にお願いし、多くの知り合
いの政治家の先生に、政務調査会全体会で、骨太原案を、「高齢化による増加分とは別枠で」、物価高騰、賃金上昇に対応できる医療費の設定を求める意見を発言いただいた。その結果、今年の骨太では、「高齢化による増加分に相当する伸びに、こうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」としっかり明記いただくところまで持ってくることができた。昨年は政治の世界では、社会保障と言えば、現役世代の負担軽減という言葉しか聞かれなかったことを考えると、全国の先生方ががんばってきた成果は着実に出てきている。

 しかし、我々病院の窮状から抜け出すことができるレベルの改定財源が確保できるかが、この秋から冬の戦いで決まる。

 9月10日には、6病院団体合同で、2026年度の病院の診療報酬改定では10%超の改定率が必要であることを主張した。今後、この改定率の規模感を、改定率の決定に影響を及ぼす政治家の先生方に、その必要性を説明して回る必要がある。
 
 今後も次回改定に向けて全力で対応していく所存である。ぜひ、全国の先生方も、我々、地域の医療を支えている民間病院が医療を提供し続けることができる改定を勝ち取るために、ご協力いただきたい。


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