日本医療法人協会ニュース 2026年4月号

■巻頭言
馬場 武彦 日本医療法人協会 会長代行/社会医療法人ペガサス 理事長
■医療法人経営者が語る 2026 年度診療報酬改定
2026年度改定が拓く「医療の再設計」と経営の針路
急性期の論点/小關 剛 日本医療法人協会 理事・医療法人社団筑波記念会 理事長
包括期の論点/今村 康宏 日本医療法人協会 常務理事・医療法人済衆館 理事長
慢性期の論点/遠藤 正樹 医療法人社団康明会 理事長
■緊急レポート 令和8年度診療報酬改定説明会
病院の選択と決断を迫る改定
地域再編2年間が経営の分岐点に
「令和8年度診療報酬改定について」
林 修一郎 氏 厚生労働省 保険局医療課長
「中医協論議を振り返って」
太田 圭洋 日本医療法人協会 副会長
「令和8年度診療報酬改定ポイント」
白鳥 峠 氏 株式会社川原経営総合センター病院コンサルティング部
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記
日本医療法人協会 会長代行
社会医療法人ペガサス 理事長
馬場 武彦2027年度から「新たな地域医療構想」が始まる。2026年度はその構想策定に向けた本格的な作業が始まる年度となる。年度始めにあたり、この問題について日頃から感じていることを述べておきたい。
今回の診療報酬改定を見ると、急性期病院一般入院料A・Bの仕組みに、厚生労働省の描く「急性期病院像」がうかがえる。たとえば全身麻酔手術の件数が要件となっているが、これを見ると民間病院の大半はAの取得は難しいというのが正直な感想だ。がん拠点病院などの一部を除けば全身麻酔件数は増えないのが現実であり、急性期Aを算定する病院に急性期機能を集約させ、急性期Bは"それ以外" という位置付けになりかねない。
こうした動きに対して、大阪の医療関係5団体として今年、厚生労働省に厚労大臣あての要望書を持参した。趣旨は、地域医療構想を推進すること自体に必ずしも反対するものでは ないが、大阪では既に地域特性に沿った独自の仕組みが出来上がっており、それを理解してほしいという内容である。
大阪では、三次救急病院と二次救急病院がそれぞれ面と面で相互に協力し合うネットワーク体制が構築されている。脳梗塞であれば血栓回収術が可能な病院群が二次救急病院の中に点在し、救急隊がシステムに従って適切に搬送するという仕組みが機能している。三次救急に集約しなくとも役割分担がうまく機能しているこの体制を、やみくもに変えてしまうことは、他ならぬ患者の医療アクセスを阻害しかねない。
要望に対して厚労省の反応としては、全国的には患者が減少していく中で集約化が必要だという見解を強調する一方で、大阪の地域事情については一定の理解を示していただいたと感じている。例えば高齢者救急を選択した医療機関の中から「準拠点」を指定する方法や、高齢者救急に含まれる疾患の範囲を地域の事情に応じて柔軟に広げることなどについて、都道府県の裁量で対応できる余地があるとの感触を得た。
強調したいのは、都道府県の裁量権と地域の多様性を認めることが不可欠だという点である。人口減少が既に深刻化している地域と、大阪のように高齢化のピークをこれから迎える 地域とを同列に論じることはできないし、地方の事情に合わせるために、既に出来上がっている都市部の仕組みまで変えてしまう必要はない。国が日本全国すべての地域の実情をきちんと把握しているわけではない。国が全国一律のルールのもとに収めようとすることに違和感を覚える時、明確に異議を伝える必要がある。
今後、各地域で構想策定の作業が本格的に動き始める。病院団体としての役割は、国に対して枠組みはあくまで大まかなものとし、実装にあたっては地域ごとの実情に即したものにするよう、地域裁量権の拡充を求め続けることにある。言うまでもないが、会員各位には、任された枠の中で自らの地域にどのような体制が必要かを真剣に考え、行政に対して積極的に声を上げていただく必要がある。
~ご意見・ご感想をお寄せください~
より良い誌面づくりのためにも、会員をはじめ読者の皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。宛先は事務局までお願いします。 (Eメール:headoffice@ajhc.or.jp)
