日本医療法人協会ニュース 2026年7月号

■巻頭言
今村 康宏
日本医療法人協会常務理事/医療法人済衆館理事長
■令和8年度定時総会を開催
■2026年度診療報酬改定を終えて
中央社会保険医療協議会・診療側委員による特別鼎談
江澤和彦 日本医師会常任 理事
小阪真二 全国自治体病院協議会 副会長
太田圭洋 日本医療法人協会 副会長
■2027年度介護報酬改定の論点
厚生労働省老健局老人保健課長 堀 裕行氏 に聞く
■ニュースダイジェスト
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記
日本医療法人協会 常務理事
医療法人済衆館 理事長
今村 康宏いつも協会の諸先輩方には大変お世話になり、この場をお借りして心から感謝申し上げます。巻頭言として、昨今の救急搬送に関して最近感じていることを申し上げます。
今回の診療報酬改定は非常に精緻を極めたものであったと感じています。特に急性期病院一般入院基本料における救急搬送の病院の実績、救急患者応需係数と割合指数、さらには特定集中治療室管理料、救急患者連携搬送料や救急外来医学管理料など、様々な評価がなされています。救急をやればやるほど赤字であった状況がこれによって改善に向かうことを願う一方で、これまでの1次、2次、3次という救急分野における搬送の住み分け方が大きく変わってきているように思えてなりません。
この分野においては地域差が激しく、私が感じているような事は多くの場合は大都市部やその近郊においてのことだと思われますが、昨今では3次救急を主に担当している高次機能病院(その多くは急性期拠点機能を担うでしょう)、そして大学附属病院までもが、あらゆる段階の救急搬送を幅広く応需する傾向にあるようです。
2024年度、2025年度において非常に厳しい病院経営の悪化が明らかとなり、これが2025年度における様々な補助金、そして今年度の3.09%のプラス改定につながっています。救急搬送についてかなりの手厚い評価がなされていますが、評価対象は搬送数自体についてであり、 搬送の重症度に応じたものではありません。結果として、多くの搬送を受けた病院が高評価を受ける仕組みになっています。重症度を問わず救急搬送を集めることは即効性を持って地域への貢献と経営の改善を同時に達成できる有効な手段である一方で、高次機能病院周辺で地域の2次救急を担っていた病院への救急搬送数は減少に転じているところもあると言われてい ます。
地域に根ざした2次救急医療を担当することが多い民間病院では手厚いリハビリも診療上の長所であることが多く、特に高齢者救急(この高齢者救急の定義についても様々な議論がありますが)において患者の利得も大きいと思われます。医療コストの点でも、疾患によっては高次機能病院に比べて2次病院で対応した方が比較的安く抑えられる傾向があると言われています。大病院への集中も診療内容・分野によって適切な程度があるのではないか、と思わざるを得ません。
救急搬送に関する話し合いは、地域のMC協議会で枠組みを検討したり、直接消防署と折衝する場合もあろうかと思われますが、これも地域によって様々なスタイルがあり、一筋縄では行きません。次の改定に向けて、救急の搬送数だけではなく、その内容(搬送症例の重症度に関する機能分担や、高齢者救急のあり方など)に関する議論も是非深めていただいて、適切かつ効率的に救急搬送症例の施設間の協業が促進され、ひいては救急医療の質の向上に資するよう、国としても何らかの道筋を示していただけないものかと思っています。
~ご意見・ご感想をお寄せください~
より良い誌面づくりのためにも、会員をはじめ読者の皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。宛先は事務局までお願いします。 (Eメール:headoffice@ajhc.or.jp)
