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日本医療法人協会ニュース 2024年9月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 常務理事/医療法人済衆館 理事長 今村 康宏


■特別インタビュー 看護師等確保基本指針の論点
 看護師の「偏在」を解決し、高齢者医療に欠かせない療養環境を整備する
  日本医療法人協会 副会長/社会医療法人博愛会 理事長 菅間 博


■特別レポート 訪日外国人旅行者の受け入れ対策
 訪日外国人旅行者の医療における「未収金対策」が本格化
 不払い等の報告制度の議論も進展
  日本医療法人協会 副会長/医療法人社団 恵仁会 理事長 小森 直之

●令和7年度税制改正に関する要望書
●「第2回経営講座」開催のお知らせ
●第39回全国医療法人経営セミナーin横浜
●医療界の最新動向 NEWSDIGEST
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表
●編集後記


巻頭言
 「下り搬送」に見る高齢者救急の未来図

日本医療法人協会 常務理事
医療法人済衆館 理事長
今村 康宏

  今次診療報酬改定でいわゆる「下り搬送」の評価がなされました。とかく地域包括医療病棟の新設や急性期の重症度、医療・看護必要度の評価変更などに目がいきがちな今回の改定ですが、この「下り搬送」、増加する高齢者救急への対応を考えると大変重要、かつ画期的と思っています。

 送り出し側は二次救急相当の症例でベッド占有を回避でき、受け入れ側医療機関は緊急処置、あるいは超重症管理を必要としないことがあらかじめトリアージされているので安心して受け入れることができるというメリットがあり、地域医療資源の適正配分の意昧でも良い仕組みができたと感じます。地域包括医療病棟での救急症例受け入れとも相性がよさそうで、急性期医療の領域でも地域における医療機関の連携がいっそう加速するシステムになり得ると期待しています。

 私が注視しているのは、この下り搬送に公的な救急車を要請すると加点がないことから想起される、救急搬送の近未来図です。昨今の救急搬送数の増加を踏まえると、新たに公的な救急車の需要を増やすことは適切ではなく、その点ではこの措置は妥当なものと感じます。一方で、医療機関が自前の救急搬送手段を持つには相応の 物的・人的コストが必要で、それが不可能な場合、地域によっては民間業者に委託という選択肢もあり得ます。そうしたなか、「日本搬送学会」が発足しました。理事には名だたる救急界の重鎮の先生方が名を連ねておられます。民間であっても救急搬送は本質的には公的な社会インフラですので、どのような影曹を社会に及ぼしていくか、私としても大変注目しています。

 要望したいこともあります。それは受け人れ側医療機関からの退院促進についての評価です。 医療は水もの、病床稼働率の高低差は季節や感染症の流行状況などによってかなり左右され、しかも、同じ地域に属する医療機関ではだいたい 同じ傾向となるため、受け入れ医療機関でも繁忙期ではすぐに病床が用意できない事態も起き得ます。そのような場合、受け入れ区療機関からの退院先である施設や介護事業所に、保健機関からの要請で予定より受け入れ日程を早めた場合には、受け入れた施設や事業所に「何らかの評価」をするなどの施策はできないものかと。高齢者救急では医療と介護は連結しています。これに関しては医療機関ばかりではなく、介護分 野までが一体となって取り組む必要があり、ぜひここを促進する施策を期待したいと思います。

 空前の厳しさと言われる病院経営環境のなか、少しでも効率的で質の高い医療を提供する必要があります。下り搬送は地域の医療資源の適正配分を促進するものと思いますが、そこには、今後に向けたさまざまな示唆も含まれています。注意して動向を見守っていきたいと思います。


■特別インタビュー
 看護師等確保基本指針の論点
 看護師の「偏在」を解決し 高齢者医療に欠かせない療養環境を整備する

 ポストコロナが本格化するなかで、医療機関における看護師「不足」が指摘されるようになっている。 2023年度に「医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師等確保基本指針検討部会」が開催され、30年ぶりに「看護師等確保基本指針」が改定された。 一方で、こうした指針に基づいた取り組みの成果が上がるには時間を要するとの声もある。同検討部会には、日本医療法人協会の菅間博副会長が参加し、 病院経営の立場から実情に基づいた対策の必要性を訴えている。今回は菅間副会長に、そこでの論点を振り返りつつ、今後取り組むべき対策を「地域医療」 の観点から語ってもらった。
(以下、掲載略)


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