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日本医療法人協会ニュース 2024年11月号

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■巻頭言
 日本医療法人協会 常務理事/医療法人尚愛会 理事長 小田原良治


■速報
第50回衆院総選挙で当選
 安藤たかお 常務理事 国政の場へ復帰

■会長談話
「病院への緊急の財政支援についての要望」
「地域医療介護総合確保基金の拡充について(要望)」
 財務・厚労両大臣に緊急財政支援と地域医療介護総合確保基金の拡充を要望
日本医療法人協会 会長 加納繁照


■特別レポート
 伊藤伸一 日本医療法人協会会長代行「新たな地域医療構想等に関する検討会」報告
 地域密着型医療の中核を担う民間急性期病院を活かす政策の必要性を強く訴える

●医療界の最新動向 NEWSDIGEST
●秋の叙勲・褒章
●独立行政法人福祉医療機構貸付利率表


巻頭言
 医療事故調査報告書に「医学的評価」を記載すべきではない

日本医療法人協会 常務理事
医療法人尚愛会 理事長
小田原 良治

 医療事故調査制度施行から10年目となるが、いまだに制度が定着しないのは、センター機能を受託している日本医療安全調査機構に原因がある。日本医療安全調査機構の人々は、「医療の内」(医療安全)の制度と「医療の外」(紛争)の制度との切り分けができていないようである。「医療の内]の制度として構簗された医療事故調査制度を紛争に利用してはならない。「医療安全の制度を紛争のツールに使うな」という単純な原則が理解できていないようである。

 2015年3月20日の「医療事故調査制度の施行に係る検討会取りまとめ」時の報道は、「検討会『取りまとめ』でも『学習を目的としたシステム』に特化する工夫を求めるほか、『個人の責任を追及するためのものではない』との表現が複数回登場する。責任追及と切り離すことが担保できるか否かが、新制度の成否を左右するポイン ト」であることを明確に指摘していたのである。

 24年10月23日配信の読売新聞記事によれば、某大学病院でERCP検査の2日後に急死した患者のセンター調青報告書は「検査は適切とは言い難い」と「医学的評価」を記載したうえに、「検査で胆管が損傷され、急死につながった可能性があると指摘」していたらしい。遺族は損害賠償を求め提訴しており、これは完全な紛争事例で ある。同報道はセンター報告書に基づくことを明記している。記事によれば、患者死亡は21年2月であり、11月には「検査の実施は適切で、検査中に死亡にかかわる有害事象は発生していない」との院内調査報告書がまとめられているようである。

 センター調査は22年4月に開始され、24年7月に「検査は適切とは言い難い」との調査報告書が出されたらしい。22年12月には遺族ぱ病院・ 医師を提訴しており、この時点で、明らかな紛争事例となっている。日本医療安全調査機構はすでに紛争が明らかになっているにもかかわらず調査を続け、「医学的評価」を記載した報告書 を提示したことになる。医療事故調査制度を維持、定着させるべき日本医療安全調査機構自らが制度破壊行為を行っているのである。

 日本医療安全調査機構は自らを鑑定機関と勘違いしているとしか思えない。同機構は医療事故調査・支援センターとして不適任と言わざるを得ないであろう。

 原因分析は「個人の責任追及にならないように注意」し、「医学的評価」は記載すべきではない。「医学的評価」は「責任追及」に直結する。医療安全の制度である医療事故調査制度のタブーである。また、名誉棄損や業務妨害となる可能性もある。そもそも遺族が提訴し、明らかな紛争事例になった時点でセンター調査は中断するか、あるいは、報告書の提示を保留とすべきだった。


■会長談話
「病院への緊急の財政支援についての要望」
「地域医療介護総合確保基金の拡充について(要望)」
  財務・厚労両大臣に緊急財政支援と地域医療介護総合確保基金の拡充を要望

日本医療法人協会 会長
加納 繁照

 日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会の四病院団体協議会は 「病院への緊急の財政支援についての要望」「地域医療介護総合確保基金の拡充について(要望)」 の2つの要望書をまとめ、10月11日に加藤勝信財務大臣、同16日に福岡資麿厚生労働大臣に申し入れを行った。
 前号で伝えたように、病院経営の危機的状況を踏まえたもの で、両大臣とも綿密な意見交換を行っている。ここでは、2つの要望を申し入れた背景や内容などについて、加納繁照会長にお話をうかがう。(※全文はこちら)


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